『居酒屋と小説』始めます。
居酒屋でひとりで飲んで小説を読む人へ。
おすすめ小説を紹介していきます。
2021年、春。
乞うご期待!
推薦!海がきこえる
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「海がきこえる」(氷室冴子/1993年)。
2年前のあの夏の日へ戻って行く。
高知・夏・17歳。
・等身大の高知の高校生、杜崎拓
・東京からの成績優秀な転校生、武藤里伽子
・杜崎拓の親友、松野豊
高知の進学校から東京の大学に入学した杜崎拓を待っていたのは、高知の大学に進学したはずの武藤里伽子が東京の大学に通ってると聞く。
武藤里伽子は、親友が片思いする相手だけだったはずなのに…。
恋愛要素がたくさん詰まっている本作は、20年以上前の物語ですが、高校生から大人になるタイミングが凄く良いです。
実はこの作品はいろんな逸話があるんです。
・魔女の宅急便の試写会の時に「この映画と同じようなエンディングの作品を書きたい」と作者が感想を述べたところから始まったこと。
などなど。
スタジオジブリでアニメ化されて、結構省略されてしまっている部分もあるのが残念ですが、凄く良い作品なので是非見てください。
推薦!ラバー・ソウル
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「ラバー・ソウル」(井上夢人/2012年)。
一方的な片思いはストーカーになる。
恋に堕ちたらとことん彼女に幸せを!
一生を賭けた犯罪と恋。
・洋楽専門誌に評論を書くだけだった、鈴木誠
・美しいモデル、美縞絵里
コンプレックスの塊の鈴木誠が、ある出来事をきっかけに美縞絵里と出会ってしまった。
空前の恋愛小説の幕が上がる。
読み出したら止まらない運命的な出会い!事件!
事件までの物語と事件後の物語が交錯するんですが、クライマックスにわかる衝撃的な真実!
大長編ですが、恐らく一度読み始めてしまうと次の展開が気になって一気読みしてしまうことでしょう。
ただ、読み終わったあとは、カーテンの外を見るのが怖くなってしまうかもしれません。
推薦!六番目の小夜子
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「六番目の小夜子」(恩田陸/1992年)。
『六番目のサヨコの年』
美しい転校生、鍵、文化祭…何が起こる。
・明るく責任感が強い、花宮雅子
・成績優秀でスポーツ万能な美人の転校生、津村沙世子
・クールな秀才、関根秋
・正当な六番目のサヨコ、加藤彰彦
3年に1度、生徒の中からサヨコが選ばれる。
ただし、今回のサヨコはいつもと違う。
サヨコが2人いる。
そして、文化祭で事件が起こる。
「六番目のサヨコ」は学校の中の怖い噂の雰囲気が読み手にも伝わってくるホラー感が良いです。特に文化祭の劇のシーン、生徒が一節毎を読むんですが、なんでもない一節が次第に全体に狂気を包まれていく…凄いです。
恩田陸のデビュー作品で、この後に続く、恩田作品に続くどこか怖いホラー要素たっぷりです。
2000年にはNHK教育でテレビドラマ化にもなりました。鈴木杏、栗山千明、山田孝之、松本まりか、山崎育三郎、勝地涼など今でも活躍中の豪華出演陣です。
ちなみに、ドラマの主人公役の潮田玲(鈴木杏)はドラマオリジナルです。
要チェックです。
推薦!パラドックス13
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「パラドックス13」(東野圭吾/2009年)。
3月13日13時13分13秒にこの現象は起きているのかもしれない。
極限の危機的状況SFサスペンスサバイバルを超えて行け。
・所轄の刑事、久我冬樹
・キャリア警察官、久我誠哉
・女子高生、中原明日香
・老人、山西繁雄
・繁雄の妻、山西春子
廃墟とかした東京をさまよう10人に天変地異や疫病が襲う。果たして10人の運命は…。
突然のパラドックス世界に来てしまった運命的な10人が救出0の中、協力しながらも安全を求め突き進んで行くのだけれども、宇宙的な規模でパラドックス世界が壊れていく迫力が凄いです。
こんな状況にはなりたくないものですね。
推薦!凍りのくじら
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「凍りのくじら」(辻村深月/2005年)。
藤子・F・不二雄のドラえもんへのオマージュが詰まった、少し不思議な物語。
・失踪した写真家の父を持つ、芦沢理帆子
・理帆子に写真のモデルになってほしいと頼む、別所あきら
・理帆子の元彼、若尾大起
・口が聞けず訳ありな、松永郁也
・ある事件で話が出来なくなってしまった、ふみちゃん
高校生の理帆子がある事件に巻き込まれて行く中で、少し不思議な出来事が起こる。
少しづつ精神が壊れていく若尾大起の変わりようが怖いが、この小説の見どころの一つなのかもしれない。
思春期の独特な雰囲気が表現出来てる素敵な小説だと思います。
また、辻村深月作品には世界観が繋がっていて今回の「凍りのくじら」に出てくる登場人物が他の作品に出てくるのが、また面白いです。
推薦!横道世之介
今回、月光堂書店が推薦したい小説は「横道世之介」(吉田修一/2009年)。
青春時代を過ごした大切な日々、
読んだ後、横道世之介に会いたくなります。
・流されやすく熱しやすい、横道世之介
・サンバサークルの同級生、倉持一平
・倉持と結婚した、阿久津唯
・世之介が一目惚れした年上の女性、片瀬千春
・世之介が部屋に入り浸っていた、加藤雄介
・世間ズレしたお金持ちのお嬢様、与謝野祥子
1987年、大学進学の為に上京してきた横道世之介。サンバサークルに入り、年上の女性に一目惚れし、お金持ちのお嬢様に振り回されたり、同級生が同棲したり、1年の青春を過ごして行く…。
読み進めて行くと、1987年と2008年の登場人物が出てくるのだけど、みんなの中心にいた横道世之介が2008年には出て来ない…。
本当にどこにもいそうな、いいやつな横道世之介。
懐かしい思い出が蘇ってくる愛おしい小説です。
2013年に映画化しました。
高良健吾、吉高由里子、綾野剛、池松壮亮、伊藤歩...本当に良い作品です。
アジアンカンフージェネレーションの「今を生きて」がぴったりで良いです。
小説から読むか、映画から観るか、悩むところです。
小説も良いですが、映画も良いです。